奥秩父縦走 瑞牆山ー金峰山ー甲武信岳ー雲取山 2006 12月30日〜1月4日

奥秩父縦走 2006 12月30日〜1月4日
瑞牆山ー金峰山ー甲武信岳ー雲取山

初の冬山であり長距離の縦走となった山旅であり、この旅はその後の自分の登山との向き合い方に大きく影響することになる。

年末の仕事が終わらずに帰宅が遅れ予定日から一日出発が遅れるが、その分丸一日食料、装備の最終準備と体を休める事にした。
初めての5泊の行程と、初めての冬山、初めての山域、初めての装備と食料の量、重さという実際かなり無理をした旅であるため出発前はずっと不安であった。 冬の奥秩父がもともと人の多いところでは無いので有力な情報はあまり得られなかった。

初日はバスで増富温泉まで行き、さらにマイクロバスに乗り換え瑞牆山荘で下車。
写真が山荘と登山口をふりかえったもの。
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いよいよ歩き始める。 人気は全くなかった。  数時間歩くと小さな沢があり、冬山であればあたりまえの光景だが初めての自分には、分厚い氷が張り付いた沢の周りの岩に冬山にきた事を改めて教えられた。
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さすがに食料、燃料、装備でずっしり重いザックが、まだ体が慣れきってないためひどくこたえる。 富士見平小屋へ着く。 すこし休み瑞牆山へ向かう。 この辺りは人がいて何度かすれ違う。 単独の人が多かった。  

この写真は途中にある桃太郎岩とよばれる神様のいたずらとも思える巨大な石ころ。
あっ、写真まだなかった。後でのせます。

瑞牆山の登りは急登りが多い。 2カ所ほどロープが張ってある岩場があったが半分ほど氷の中に埋まっていて掴めない。さらにその岩自体が氷におおわれているのでフリクションがなくホールドできるところもあまりないので滑り台をあるくみたいだった。 一カ所、完全に足を滑らせて2メートルほど滑り落ち必死でホールドに手をかけて冷や汗がでた。いきなり怪我なんてしてられない。 このあたりは積雪はあまりみられない。
これは山頂付近にあるヤスリ岩とよばれる所。
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山頂のすぐしたに再びロープも氷に埋まった氷に固められた岩がある。  よじ登ろうとするがうまくいかない。同じミスがこわかったので、ここで生まれて初めてのアイゼンを装着。 アイゼンとピッケルほど雪山を感じさせる装備は無いと思う。  この金属感とギザギザとした非日常的なところがいいのだ。   ま、それはともかく、アイゼンをつけて楽につるつるの氷岩を登りきる。
そして急に空がひらけた山頂へでる。山頂には数人ひとがいて、雪もここは積もっている。初めての雪山、遠くに見える白いアルプスに感動した。 


富士見平小屋まで下り、大日小屋のテント場の状況をきく。水場は水がある。
一時間ほどで大日小屋につき、テントを張る。午後5時くらいだった。誰もいない。ここはもう一面雪だった。 多分つかれていたのか、すぐ眠りにつく。  夜中めを冷まして気温をみると−10℃くらいだった。 初めて体験する寒さだ。

2日目の朝は登山道をあるく数人の人の声で目覚める。 天気はいい。早く出発しなくては。
この日は金峰山を越えて大弛小屋までの行程。
金峰山へは急登が続く。しばらくは雪と岩と木の根の出た土の道を行く。 
ここで早くも怪我を負う。 まだアイゼンに慣れていないせいもあった。
途中に少し開けた所にでた。そこは氷が一面にはってある感じの所て道標がありそれを横目でみながら歩いていた。 ふと足をまえに出そうとするとアイゼンがなにかに引っかかった。つまづき、そのまま片膝に全ての体重を載せたまま左膝から転んだ。激痛がはしる。  ただの打撲であればそのうち引くと思い歩き続ける。  しかし左を踏み込む度に痛みが走る。 しばらく耐えていると、なんとか痛みにも慣れた。
高度をあげ稜線にでると雪だけの道になる。 上の方に人の姿も見える。 
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ここからは黙々と雪の斜面を登ってゆく。   写真で見た山頂の五丈岩が見えてくる。
山頂にいた2人組に写真を撮ってもらう。  
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山頂は風が強くじっとしていると寒い。 たぶん ー10℃くらいだった。 さらに風も強かった。岩場の風下にすわりコーヒーを沸かす。 ちょっとドジってガスカートリッジの液体が漏れ手にかかり手がバリバリに凍るところだった。 このコーヒーは美味かったが、もっと風のない落ち着いた場所で飲んでもよかったなって今では思う。 

山頂からはこの稜線の向こうに降りてゆく。 トレースらしき踏み後がいくつもの方向にあり、どれが正しい方へ向いているのか惑わされるので、コンパスと標識と地形を見て確認する。
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しばらく進むと森林地帯に入る。 この辺りから雪が深くなり歩きづらくなっていく。
かなり周りが暗くなり始め焦り始める。最初は慎重に歩いていたが途中から散漫な歩き方で急ぎ気味で降りてゆく。 6時をすぎてようやく大弛小屋前の広場につく。まっくらでヘッドライトで照らしてもどっちに小屋があるかわからずしばらくうろうろした後、小屋発見。
小屋は無人だが開放してあった。しかし電気はなく、水場も凍ってかれていたので、とにかく雪を集め溶かし始める。  小屋の中でもー7℃くらいでガタガタ震えながら暗闇の中、雪をどんどん溶かしてゆく。   これならテントを張って、その中で雪をとかした方が暖かかっただろう。  この日も冷え込み何度も目を覚ます。

そして3日目を迎える。   
この日は、甲武信岳をこえ甲武信小屋の予定だ。
しかし、疲れと体がだるいせいで出発は八時を過ぎてしまう。 この頃はまだ、冬山の常識ややり方をわかっていないのだった。  今でもまだあまいけど。

そして、この日は現在でもワースト3に入るくらいの悪い道のりと疲れ具合だった。
まず、ひたすら雪が1メートルくらい積もった階段をひたすら登ってゆく。しかも昨日打った膝の痛み一歩一歩顔が歪む。 無雪期の3倍の時間を費やしながらのラッセル。 何日か前の踏み後の上にさらに新雪がつもっており、踏み後を踏んでも膝から上まで沈む。  前国師の標識がある少し開けた所につく。  ここで急な登りは終わるのだか、この先は、それまでかすかに残っていたトレースがなくなる。 先に続く階段がありそこを降りると雪と樹林のみの所にでるが、まったくどこが登山道なのかの手掛りがない。 登山道であれば少しは樹林が開けているはずだとコンパスと地図をみながら雪の中を進んでみるが地形がどこも同じなので、何カ所かすすんでみては引き返す。 何カ所かいきなり体全体が突然落とし穴に落ちたみたいに雪に埋没し、脱出するのに数分かかり雪まみれになった上にどっと疲れがでる。
意をけっしてコンパスと地図と勘をたよりに方向を決め進みだす。
あまりに疲れてイライラしていたので写真なんかは撮っていなかったが下の写真はようやくそれらしき道にでれたときに、喜びで撮ったものだ。
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しばらくは、両手に持ったピッケルとストックをクロスして持ち、目の前の雪を上半身の体重を使って潰し、そのうえに踏み出し、または四つん這いで乗っかり、それを繰り返すだけだった。 もう思い出すだけでも嫌な記憶だ。
ようやく下りに入り雪の深さも減るが、相変わらず足は雪に沈み、途中でザックにロープを結び中身を無視して闇雲に引っ張りながらおりようとしたが木の根っこや段差でうまく引っ張れずにあきらめ、普通に歩き続ける。   この日は7時間の行動で完全に疲れきってしまい、地図上では2時間半くらいの行程しかすすんでいないが森林地帯の平な所をみつけテントをはる。

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起きたのは7時を過ぎていた。 出発は9時ぐらいになってしまう。
今日はとにかく甲武信小屋までたどり着くことだ。

雪は昨日よりずっと減りあるきやすくはなった。 午前中は緩やかだがいくつかの小ピークをこえるアップダウンが続く。昨日の疲れがのこっている感じで体調はよくない。 ずっと森林地帯なので景色が変わらず空も暗いので気も乗ってこない。
だから、この日の行程はあまり記憶にない。  午後になって甲武信岳の方からきたおじさんにであう。その人も自分がしたように登山道にテントを張っていた。金峰山山頂以来に2日ぶりに人と話した。  話を聞くと、それほどこの先は雪はひどくないと言われ少しは気が楽になった。
あとはひたすら同じような道をひたすら歩き続けた。  ひも暮れ暗くなり始めヘッドランプをつける。出発が遅かったため一日が短い。
 視界がひらけ雪の急斜面をしばらく登る。 6時を過ぎていた。 
甲武信岳山頂だ。  小屋はここから15分くだった所にある。 山頂でとりあえずの写真を撮り、真っ暗になった道を地面の雪を照らしながら小屋へ向かった。 ヘッドランプを消すと本当に真っ暗で不安になりそうだった。

しかし以外なことになる。  小屋に近づくと明かりが見える。ちゃんと調べておかなかったせいもあるが、なんと小屋が正月のため営業していて食料や飲み物もあり正月登山のお客さんもいて、真っ暗闇から突然人がたくさんいる所に入り自分もしばらく安堵と疲労で唖然としてしまった。小屋は翌日にまた閉まるそうだ。 一日遅かったらまた雪を溶かして寒いテントの中で寝る事になっていた。  
山小屋の主人の徳さんは、疲れた表情の自分を見て、日本酒を一杯ごちそうしてくれた。 この時の八海山の味は何ものにも比べられない。
始めは素泊まりにしようと思ったが丁度夕飯時で、しかも好物のカレーだ。  ここは体勢を立て直すためにお世話になることにする。  このカレーもまた一口食べる度に体にエネルギーが配給されるような感じだった。3杯食べた。ビールと日本酒も飲んで他の登山客と一緒に小屋にある大型テレビで徳さんの出演した甲武信岳付近の沢登りの番組のビデオを談話しながら見た。 その後もストーブを囲み皆で小屋が出してくれた焼酎を飲みながら宴会だった。ストーブで濡れたものも乾き、いい気分で寝る事が出来た。 
翌朝は小屋の朝食をたべ6時に出発。
小屋に着く前は雪の心配や、痛めた膝、足りなくなってきた糖分系の食料を考え下山することも考え始めていた。  しかし、この小屋のおかげで心身ともに回復できた。
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by hoop29 | 2007-01-12 09:00 | 2007