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仕事を辞めてからしばらく経ち、8月の知床・北海道の後は、バスケットの友人と雲取山、赤岳(夏期は初めて)、そして単独で一週間の南アルプス縦走(北岳ー光岳)にも行ってきました。この南アルプス縦走も以前から計画していて、今やらなきゃ何時になるかわかんないってことで優先して実行に至った訳です。  縦走ですれ違ったおじさんに聞いたはなしで、光岳からはいって北岳を越えて鳳凰三山へぬける縦走をしている兄ちゃんがいると聞き、たぶん荒川小屋の水場にいた真っ黒に焼けた若い人の事だったのかなっと思った。2週間のフルコースだ。ちょっとうまやらしー。
まあ天候に恵まれ、膝も完治したと確信でき良い山旅だった。

そして10月。 気分は失業保険絶対全部取ってやる的状態。
貯金も底が見え始め、もう派手な旅行はできない所まできてしまっていたので、せめてもう一回安く済む、ぱぁーっと派手な所がいいなと考え、いいとこどりの爺ヶ岳ー鹿島槍ー五竜ー白馬となった。日程の前後に大切な用事が入っていたのでそれ以上長くできなかったのも理由。それに3連休の前だから山が静かなんだ。
もしかして今年の山収めとなるカモシカ。 お金の理由でね。 それでもこれらの山は中央本線沿いにある(吉祥寺とか八王子じゃないよ)のでアクセスが良いため離れているわりに交通費が安く済むところがいいのだ。
なので、電車は全部各駅でした。片道5〜6時間、さらにバス移動もあり今まで特急に当たり前でしょ的な勢いで乗っていましたが改めて「あずさ」さんのすばらしさに気付かされたものでした。帰りは人身事故もあり電車だけで7時間かかった。

初日は立川から始発に乗りこみ4回乗り継ぎ、松本の乗り換え時間に某店で牛丼を大盛リットルほど補給し信濃大町まで行き、そこからバスで扇沢ターミナルまで。そして15分ほどバスで来た車道を歩いて戻ると爺ヶ岳の登山口に着く。グリーンの橋がある所。歩き始めた時は12時近かった。 登山口の写真撮っときゃよかったな。
今日は稜線へでて爺ヶ岳を越えて冷池小屋のテン場まで。 登りは種池小屋までは1000メートルくらいの高度差を普通の森林地帯の山道で登って行く。曇っていて周りの景色は無いので一気に登りきり種池小屋で15分くらい休憩した。山荘は賑わっていて何グループかが爺ヶ岳の方から降りてきて小屋に入って行く。 風が少しあり、薄暗く、じっとしてても寒いので出発した。 山頂に近づいたあたりで雲がすこし切れ始め視界が開く。南峰では80歳くらいの男性とすれ違った。  
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稜線からは立山の剣岳が黒々と雲の中に上部をのぞかせている。
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山頂から冷池小屋までは時間的にも人とすれ違う事は無さそうだし道も悪くなかったので ipodから流れる曲にあわせ唄声を山々に響かせた。小屋に着き翌日の分まで水を買い、少し離れたテン場でカップラーメンをすすり前日あまり寝てないのですぐ眠った。 テント場にはもう一人おばさんらしき人がいただけだった。 
朝は4時に起きて5時20分くらいに歩き始める。雨が心配だったが降らなかった。この日は五竜山荘かその先の唐松小屋まで行くか後で決めようと思って歩いた。
始めはヘッドランプの明かりで歩いた。曇りで太陽は雲の向こうなのでしばらくは薄暗い中を歩く。
鹿島槍までは快適な道のりだった。 だんだん雲が晴れ始め気分も明るくなる。

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山頂にて。 後から来たおじさんとお互いに写真をお願いした。
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鹿島槍から五竜方面を見る。 これがこれから歩く道のりだ。
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鹿島の北峰から先は難所の下りだ。特にキレット小屋から手前の1時間は。小屋は近いのに何度も岩場のトラバースや鎖、ハシゴがありなかなか辿り着けない感じだ。 
キレット小屋から少しいくとゆっくりできる鞍部があるので、そこで休んでから五竜への登りにかかった。
五竜岳への標高差は少ないが、ちいさなアップダウンがあるため高度はなかなか上がらない。北尾根ノ頭からようやく登りがはじまる。
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急斜度の岩場が続く。けど自分はこういう所のほうが楽しめて上半身もつかうので疲れない。
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五竜山荘への分岐点へくれば頂上はすぐそこ。分岐点を無視して直進すると五竜の山頂だ。
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時間はまだまだ早かったので五竜山荘を通り越し唐松岳頂上山荘まで行く事に決めた。
山荘に辿り着くまでの登りが意外に長くて途中で痺れを切らしビールが飲みたくてたまんなりビール発作がっ!!。意味も無く「びーるっ!!!あーーーっ!!びーいる!!!」とか叫ぶ。
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山荘着いてすぐにビールを口に流し込み心身共にstablelizeする。
着いたときはガスで周りは真っ白だったがテントを張った頃に雲が消え始めそらが広がった。 しばらくテントの外にでて雲間から差し込む太陽の光の帯にみとれながらインスタントラーメンをすすった。
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翌日はテント場からすぐの唐松岳をこえて白馬岳に向かう。 朝から唐松の頂上は早くもガスに覆われてしまったので先に進んだ。 唐松から先の不帰の岩峰はかなり危険な鎖やハシゴが連続しスリルがあった。 人が多いと渋滞になるのもうなづける。 
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赤いペイントマークが結構あるので分かりやすい。それを忠実にけばいい。ここを積雪期にいくのは嫌だな。
最後に長い鎖が垂れている大きな一枚岩のような急斜面を降りると難所が終わる。
そこからは普通の小ピークがあり、そこを越えると天狗への登りがはじまる。
標高差400メートルくらいだと思う。
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唐松小屋の自動販売機で買ったおいたビールが早く飲みたくて、この日の行程の中間地点にあたる天狗岳の頂上へ急ぐ。  稜線に出てもあいにくガスに捲かれてわずかにしか視界がない。   頂上についたのでビールと腹ごしらえ。風があり太陽もみえなかったがビールは良く冷えていて気持ちよくのどを流れて行った。どうせ時間もたっぷりあまりそうだから30、40分休む。 今回はじめて持ってきたクリームチーズはパンにつけたり、そのまま食べたり結構おいしかった。
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天狗の小屋は閉まっている。 水場は生きていた。ここから先はしばらくガスの中で視界は30メートル。 道も危ない所はないので唄で寂しさと退屈をまぎらわせながらアップダウンを繰り返して行く。 白馬三山鑓ヶ岳の山頂は分岐からちょっとの往復で行ける。 杓子へは一度鞍部にさがってまた斜面をトラバース気味に上がる。山頂に行かずに平行にトラバースする道と頂上に向かう道に別れる。
杓子の稜線でも視界は悪かった。オレンジっぽい色のガレ場の道だ。 山頂も晴れていれば展望が良かったはずだ。 東側は垂直に近い崖になっている。
杓子山頂から白馬岳までは危険箇所なし。鞍部までくる途中で白馬の小屋がちらちら見える。でもあと一時間はかかる。この日テントを張ったのは頂上宿舎小屋のテン場だ。一番のりだった。でも夕方になってもう一人来ただけだった。  雲が晴れて来た。 トイレも水場のタンクもすぐそばで便利だった。 山荘の食堂ではステーキが食べれるようだ。

humor me here... ;)

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pretty neat, huh?


まだ昼の2時くらいだったのでフリーズドライの飯食って昼寝してから夕日を見に山頂へ向かった。
テント場からは30分で行ける距離。カメラだけ持った。
10分登ると白馬山荘がある。標高2850メートルくらいにある日本有数の大型山荘だ。 ここを通り過ぎ山頂へ登って行くと途中に開山者のレリーフがあるので一礼をしてから頂上へ向かった。
だれもいない。 すこし残っていた頂上付近の雲もいつの間にかなくなっていた。



これだ。これがあるから山にくるんだ。 
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この頂上からの雲海の景色は今まで見てきた景色の中で最高といっていいくらいのものだった。   風が強くて寒い。 沈むまでもうしばらくありそうだ。
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山荘が下に見える。
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そして夕日を背に振り返る。
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ブロッケン現象ってものだ。 こんなに長く見れたのもカメラに撮ったのも初めてだ。
雲の中に自分の陰が移りその陰の自分に光の輪(後光)ができる。 自然が気まぐれでたまに見せてくれる。

太陽が遥か彼方の雲の中に消えると一度に暗くなり始める。  山荘でワンカップを2個買ってテントでささやかな宴会だ。 この大雪渓と名のつく日本酒は体にしみわたるおいしさだった。 
夜中の外気気温は2℃だった。


翌朝は日の出をみるために再度頂上へ。
途中の斜面で同じく朝日を撮ろうとしている人が見えた。 自分は山頂へ。
風が強く早朝の寒さが肌を刺す。


Here I am again. and there it comes!
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全ての物に色が与えられて行く。 神の為せる業とでもいったらいいんだろう。
太陽を崇めた太古の民の気持ちも分かる気がした。
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せっかくこんな高い山まで来ているんだから山荘に泊まっている人も来ればいいのにと思った。 少なくとも自分はこの朝日のおかげで、「もうなにも文句はないや」と思えたし疲れも小さな悩み事も関係なくなった。
上にはいつもより少し近い宇宙がみえる。
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山頂についてから一時間ほど、太陽が昇り地表に光があたるというだけの自然現象を楽しんだ。   
テントへ戻り荷物をまとめて下山する。 猿倉までは4時間くらい。  どうせバスはないし急ぐ必要もないのでゆっくり歩いた。翌日から3連休なので登ってくる人と何度もすれ違う。

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一時間ほど下ると杓子岳の昨日みえなかった側の斜面がよくみえる。
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このルートは大雪渓で有名だ。 この時期は一番雪が少ない。
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アイゼンを持ってきて出番なしかと思っていたけど、この雪渓では役に立ってくれた。
相変わらず、アイゼンが雪にささる感じがいいーなー。

雪渓には所々大きなクラックがある。
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雪渓を下りきり普通の登山どうになったところで振り返った。
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木々が増え紅葉に染まっている。
さらに下り猿倉まで一時間となるあたりまで来た。
道はまるで色とりどりのトンネルをくぐっていくようだった。
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そして...
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猿倉山荘から白馬駅まではタクシーだと4000円近くかかるので結局さらに3時間白馬駅まで歩いた。
途中にあった露天温泉は良かった。 温泉からさらに1時間くらいで白馬の町に出る。市街地に着いたらすぐ食べるつもりでいたから朝から何もたべてなかった。 でもスキー観光地だからどこのレストランも開いてなくて困った。 ようやく白馬駅前の喫茶店でハヤシライスとトンカツ定食にありつきビールで打ち上げ。 おばちゃん、ただでコーヒーサービスしてくれてありがと。
4時半の電車にのった。
帰りの電車は人身事故による遅延もあり家に着いたのは12時だった。

とりあえず、貯金はなくなり失業保険が入るまであと一ヶ月。 山はしばらくお預け。
納得のいく山旅でしめくくれて良かった。

しかし早くも失業保険でどこの山にどうやって安く行くか考え始めてる。
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by hoop29 | 2008-10-14 16:35 | 2008

燕岳 2008 5月

GWの翌週に2泊3日で行った燕ー大天井ー常念ー蝶の記録です。

4月の中央アルプスではこっぴどくやられたので今回はいつもより慎重な心がまえです。

立川から朝出発し中房温泉から入山。麓は春。 GWに雪が降ったため登りはじめてしばらくして雪道になる。合戦小屋はまだ雪がたくさん。 登山口から長い登りが続きますが危ないところや迷うところは無くたまに人とすれ違ったりするしGW後なのでトレースがついていて足場も良かった。
燕山荘には既に6張ぐらいテントがあり、天気もよく燕岳も見え小屋の周りはにぎわっていた。
さすがに人気の山小屋で、作りも立派でいろんな物がおいてあった。
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荷物を置き燕まで空身で往復。 アイゼンなしでも大丈夫。百人のってもだいじょーぶ。
翌朝も朝日で目覚め、爽快な空と槍ヶ岳が見え気分がいい。 朝方はまだまだ寒いです。
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朝の8時くらいまでは雪がしまっていて歩きやすかったがその後はだんだん緩んできて、たまに膝までもぐってしまうところもあり、もっと早く出発するべきだったと思う。ひとはあまりいなくて、大天井の登りからは常念まで誰にもあわなかった。
大天井の登りはなかなか手強いのものだった。山頂をすぎてからは近くなった槍や穂高をみながら稜線をすすむ。午後になるとしめった雪にずぼずぼ足がうまり、速度も落ちて膝から下はスパッツもパンツも靴もびしょぬれ。気温も太陽がでていてかなり暖かい。
常念小屋には3時くらいにつく。 せっかくだから夕飯だけ小屋でいただいた。やっぱり人につくってもらったものは、おいしい。
客は自分と2人のおじさんだけだったので3人で座り、小屋の方がお酒をくれて、ビールものんでかなり酔ったままテントにもどりすぐに眠りにつく。 
夕方から雲が増え、朝は霧の中出発。 この日は上高地まで長い行程だったのであまりやすまずどんどん進む。常念岳山頂では雲とガスでなにもみえないのでとどまることなく歩く。
長いガレ岩と石の下りになり、いくつかのアップダウンのあと、今度は雪の多い森林にはいりまた登る。 この森林地帯は雪が所々ゆるく膝までもぐるところもあり、どこが登山道か全くわからないので、かすかに残ったトレースを見つけたり失ったりしながらすすんだ。 
そんな時だった。旅にいつも道連れにしているipodからマッキーの「どんなときも」が流れだし、山でたまにある事だが、突然いろんな想いが込み上げてきて、曲が終わるまで嗚咽と鼻水をたれながして号泣する。ひととおり涙も出し切ると、また平然を斜面を歩き出す。
蝶槍の登りはトレースがあり道はわかりやすかった。しかし、雪は良くなかったので苦戦した。
雷鳥が近づいてきて足下でうろうろしている。 そんなに近づくと捕まえて食っちまうぞっと脅すが、かわいいので去るまでまった。 蝶槍の頂きからはガスのためあまり展望はよくかった。
その後は雪も減り地面がでていたので、蝶ヶ岳ヒュッテまでは楽につけた。 ヒュッテは誰も客がいなそうだったがここもせっかくなのでカレーを食べ、おみやげに山の動物たちが書いてあるバンダナを買った。   
ここからは徳沢に出る下りだ。  森林地帯の雪道を行く。雪は結構ふかくぴょんぴょんジャンプしたりしてクマを追うマタギ気分でおりていく。

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途中までトレースもあり、団体とすれちがったりしてこれならもう大丈夫だと、気をぬいてどんどん下っていたら、いつの間にかトレースも登山道らしき印もなくなっていた。
地図とコンパスをみながらだいたいこっちでいいだろうと見当とつけてくだりつづけると明らかに人跡未踏のような所にでてしまい心配になる。  っていうかこの2行まえの時点でひきかえせって思うね。普通なら。
そのあとはかなり無理をして急な斜面を岩をごろごろ落としながら下りつづけ、土まみれになりながらようやく徳沢付近の沢にでれた。この急斜面の下りで相当つかれてしまった。 山菜をとっているおばさんにきいて徳沢の方向を聞く。登山道から1キロほど左にずれていた。そこからは上高地まで無事につきシャワーをあびてバスに乗り込む。

どうしても下山した場所っていうのは観光地や温泉地が多く、いきなり世界がかわってしまうのと一般の観光客が多く、居心地が良くなくなってしまい苦手なので早く抜け出したくなってしまします。


稜線歩きは危険箇所もなく天候もよかったため全体としてはとても楽しかったし、初めて雪をかぶった北アルプスに来れた事がうれしかった。来年は穂高、槍もいってみたい。
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by hoop29 | 2008-05-23 07:13 | 2008

2008 4月 中央アルプス 

千畳敷カール - 木曽駒 - 宝剣 - 空木  3泊4日

朝、家を出てから5時間以上をかけて、電車、バス、ロープウェイを乗り継ぎ千畳敷カールへ到着。もう昼もすぎていて、気温も暖かい。 観光客に混じりロープウェイを降りて外へでるとまばゆい光と一面に広がる白と黒だけの世界に心が弾む。 カールの途中に降りてくる、または登っていくスキーヤーと登山者がちいさな粒のようにポツポツと見える。
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斜面は足跡がずっとついているが、すでに気温が上がっているためトレースの上をあるくと、さらにすねくらいまで沈んでしまう。 歩いてみると遠くで見るよりなだらかなのがわかる。
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カールをのぼりきると宝剣岳と雪にうもれた小屋がみえてくる。
日帰りの登山者に宝剣岳をバックに写真を撮ってもらった。

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下の写真は木曽駒ヶ岳の山頂の祠。  その下は宝剣小屋付近に張ったテント。
この先は人に会う事はなかった。
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夜もそれほど冷え込まなかった。 月明かりの明るさで雪の上に小屋の陰がはっきりと見える。
翌朝は起きるのが遅れた上に、アクシデントというか、またドジをやらかしてしまった。
テントをたたむためポールを抜いていた時だった。片方をぬきおわり、もう片方も抜いてたたみ、最初に抜いたほうもたたもうと思うとなぜか見当たらない。 突然きえてしまった。 しばらくまわりをうろうろして探す。 
そこである事に気づく。   テントを張った場所はわずかに谷に向かって斜度があった。そして考えたくなかったがそれしかポールがつれてゆかれた所はない。 谷に降りていくと視界には白い斜面だけだ。相当おりないとだめかも。 しかしポールなしではこの先話にならない。意を決してシリセードで下る。
かなり下ったところで斜度が平坦になったところにわずかに生えている雪から出たブッシュにひっかかっていた。 このブッシュがなければさらに下まで爽快にすべっていただろう。 とにかくポールを手に取り上にもどるが、朝っぱらから1時間と体力を無駄にした。

宝剣岳の登りはキックステップされたトレースがのこっており、それにそって山頂へ向かう。
急斜面のトラバースはかなり怖かった。すべったら途中で止まりそうも無い。 確実にステップを蹴り込んでゆく。 山頂からは千畳敷カールが一望でき天気もよく南アルプスもみえる。   極楽平の方への下りは氷と雪のついた岩場を降りるが、ここも緊張がつづく所だった。

宝剣を下りきると平坦な稜線へでる。 
ここからしばらくは歩きやすい道がつづき気分もいい。しかしトレースはこの先なくなる。
これから歩く稜線の全豹がみえる。 まだ空木岳は遠くにみえる。

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午後からは雲が増えてくる。
たぶんこれが槍尾岳だ。  ここから尾根が東にのびていて避難小屋がみえる。
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ここらかみる空木岳の南斜面は垂直壁に見え、明日はあの頂上にいるんだと思うと恐怖もましてくる。
稜線歩きの後半はかなりアップダウンも大きくなり熊沢岳の登りは雪もところどころもろくなって速度も落ち疲労がたまりはじめた。
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午後2時くらいから雪がちらちらと降り始め空は雲に覆われて暗くなり嫌な雰囲気になってしまった。  東岳のあたりでは膝から股までもぐり、疲れとイライラがたまり天候もよくなく気持ちが焦りだす。 それまでも何度か雪屁ぎりぎりを歩いたりしていたが、ついつい雪屁側が歩きやすく寄ってしまう。  そしてついにやってしまった。
雪の上にカモシカの足跡がありなんとなくそれにそって歩いていたら「ばすっ」と音が聞こえ、一瞬後には体が浮いたように地面の雪がずどんっ と落ちた。  
瞬時に思ったのは、「やっちまった」 というのと「家族や知り合いにすまない」という思いと「ピッケルを斜面に打ち込まないと」ということだった。    なんとも幸運だったことに、5メートルほど垂直に崩れた雪屁は斜面でとまり、自分も股まで埋まり、ピッケルで軽く胸を打撲しただけですんだ。  恐怖をごまかすために「あぶねーーー」と一人で声をださずにはいられなかった。 斜面を這い上がり稜線へもどる。そこから先は一歩一歩びくびくしながら、へっぴりごしで木曽殿山荘まで下った。
期待していた避難小屋は雪で完全に埋もれており、30分ほどシャベルで入り口を掘り出したものの小屋の中も雪が半分くらい入っており、あきらめて外にテントを張る。 
この日の夜は風もあり積雪もあり夜中もテントの中からテントに積もった雪をたたいて落としたりしながら眠る。

翌朝おきると、予想以上に雪が積もっており、すねから膝までのラッセルの登りのスタートとなる。 はじめの30分ですでに疲れてしまった。 それでも風のある稜線まで上がると雪もしまり、歩きやすくなる。 

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中腹まで登ったところですこし太陽が見えたので写真を撮った。
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後ろを振り向くと昨日通過した東川岳がある。 雪庇が崩れて落ちたあたりも見えた。
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この先は難所の連続だった。  第1ピーク、第2ピークは登山道のマークも全くみつからず、行けると思ったところをトラバースや登攀並みのアクロバットで越えていった。一カ所、20メートルくらいの両側が切れ落ちた雪のナイフリッジを一歩一歩慎重に歩く。 
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岩場では何度かいきづまり相当時間を費やしたし、緊張感で疲れきってしまった。 山頂に着いても、ただ早く安全な所に行きたいと思うだけで、そのまま歩き続けた。

ここで、また失敗をする。  そもそもこの旅にコンパスを忘れてしまった事が致命的だった。山をやる人間として失格だ。
空木の山頂で方角も確認せずに尾根を下りはじめて、40分くらいしてから下りの稜線の地形が遠くでみたのと違うことにようやく気づいた。  そして1時間かけて山頂までもどる。正しい尾根は雪屁にしか見えないような雪の盛り上がった向こうにあった。 ここで既に昼すぎで、下の小屋につくのは難しくなってきた。 ロスした時間を埋めるために、そこからはひたすら下る。しかしこの下りの稜線の雪もくさっており、ワカンを持ってこなかったことを後悔するしかなかった。

森林地帯にはいると、地形が入り組んでおり、地図には迷いに注意と出ている。 そして自分はどっちを向いているのか分からないまま進み続けた。一歩一歩、ももまでもぐる雪の中をじりじりすすむ。途中まではたまに赤いテープをみかけたが、ついに道を失う。 時間は5時をすぎている。疲れと焦りで、もう戻る気力はない。  地図をみると、このまま下り続ければ、どこかの沢にでれそうだと思い道亡き道をくだっていく。 体も土まみれになりもうどうにでもなれと思っていると、細い雪渓にでる。ここからはピッケルを雪に打ち、グリセードで体ごと滑らせていく。もう7時ちかくになり周りは暗い。とにかくテントを張りたいのだが雪渓の両側は斜面だけでなかなかみつからない。 しょうがなく傾斜のゆるい側の斜面をのぼり、かろうじてテントの四隅のうち3つがのる斜面があり、雪と石の斜面をピッケルで削りテントに潜り込む。朝出発してから14時間経っていた。衣類はすべてびしょぬれだったが寒くはなかった。
幸い電波があったので次の日に出社できないと会社に電話し、家族にも電話する。 体と荷物は全て平になっている側へよせてテントを安定させながら寝袋に入る。 いつ斜面からテントごと滑り落ちるかびくびくしながら眠った。
翌朝、太陽の方角と地形からようやく、おそらくの自分の位置と自分が降りるべき沢がわかる。荒井沢の上流だ。 一カ所、落差8メートルぐらいの垂直の滝があり、ここを高捲きするのに30分を要した。
そこから先はデブリや枝、石のちらばる雪渓をひたすら下る。 2時間ほどで雪もへり、沢らしくなってきた。 足場の悪い所で一発派手にころんですねを強打ししばらく悶絶。 
さらに一時間で地図にある通り、別の沢との合流地点に着き自分の予想どおりの沢にいたことを確信し安心する。   そこから先には小さな堤防があり、ここも高捲きで越えると、遠くに工事場の車がみえた。人はいないが、とにかく山から抜けた事で喜びが込み上げてきた。  両手を突き上げる。 どの山頂についた時よりもうれしかった。 

そこから30分あるき車が来れる林道まで出てタクシーを呼ぶ。 
どこの林道がはっきりわからずタクシーから、居場所がわからないので引き返すと電話がくる。
あきらめて、あるきはじめ数分後、林道の分岐点の様な所を通りかかると車の音が。  まっているとタクシーが見えてくる。   
もしタクシーに遭えなければ町まで2時間かかったはずだった。   とにかくドライバーに礼を述べ温泉のある所まで送ってもらう。
ここの温泉で飲んだ地ビールはうまかった。 南信州ビールね。 
あたたかい日差しがさしておりバスを待っている間はぬれた靴や衣類を乾かした。 この3日間歩いた山が遠くに見える。
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by hoop29 | 2008-04-18 18:50 | 2008
田代でスノーボードをした帰りに越後湯沢から土合へ行く。 駅へは夜に着き完全な無人だったためスノーボードの装備は土合駅舎の外の人目が着かない所に隠した。  コンビニもなにもなく真っ暗な道をヘッドライトをつけて25分くらいあるいた。
登山指導センターの仮眠施設では先客が2人すでに寝ており、翌朝、早くでていった。
山頂へは西黒尾根を登り天神平のゲレンデからロープウェイで降りるルートだ。
6時半に出発。天候は悪くない。どこから登り始めるのか分からず、しばらくうろうろした。仮眠施設のすぐ裏が登り口らしい雪の斜面になっているのでそこから登った。

初めは急斜面のトレースの残った森林地帯の雪の斜面を2時間くらい直登した。木が減り視界が開けて行く。

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木がなくなると風が感じられる様になる。  小さなコブやひびがはいっている雪のかたまりの上を越えたりしながら進んで行った。 トレースはあるが積雪があったらしくはっきりとは見えないし踏んでも足が沈む。

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ラクダのコブあたりからは所々稜線も狭くなり危険箇所もある。
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この後はかなり大変だった。 風が強く、耐風姿勢をとる程吹くときもあり顔を伏せて立ち止まるこが多かった。2月に赤岳で寒波の強烈な風を経験していたから、あせらずにいれた。
雪が深い急斜面はどんどん崩れて上に進めない。膝を蹴り込み沈めてステップを作り、それを階段状にしてじりじり登る。  
四つん這いになって進むところも多く、雪の締まっていそうな所を狙って登る感じだ。相当な時間をつかってようやく天神尾根との合流点がみえてきた。 尾根からはスキーヤーとスノーボーダーが板を担いで登ってきたので少し話した。 
登ってきた西黒尾根を見下ろしてみる。

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主稜線上の雪は風のためか良く締まっていてアイゼンがカリカリ鳴る。 ゴーグルを持ってこなかったため風で顔が痛い。

東尾根
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頂上も近い。
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肩の小屋も見えた。
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標識にはびっしりエビの尻尾が付いていた。
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たぶんこれがオキノ耳(北ピークの名前)のピークだ。 行こうか迷ったが、トマノ耳(南ピークの名前)に着くまで6時間かかってしまい帰りのロープウェイまであと3時間しかなかったためあきらめた。
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トマノ耳で。 
トンマ。
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天神尾根
帰りはここを降りる。 スキー場が行く先に見える。トレースはスキーヤーが何度も通っているため、はっきりしていて危険箇所はなかったが風は無く午後になり気温があがって雪は重かった。
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天神尾根はスキー場に近づく程、板を担いでくる人を頻繁に見かけた。
ロープウェイには最終の一時間前に着いたからオキノ耳も行けたはずとちょっと後悔。

ちなみにこの登山がカメラ NIKON D-60の雪山デビューだった。
土合への帰り道は登山装備を担いだ外人3人とすれ違う。めずらしいな。
隠しておいたスノーボードは無事だった。
そしてクライマーズハイにも出てきた土合駅の有名な長ーい階段のトンネルを降りて行った。
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by hoop29 | 2008-03-20 14:12 | 2008