奥秩父縦走 後半 甲武信小屋~鴨沢



翌日、甲武信小屋を出発。
昨夜のカレーとお酒と、そしてちゃんと朝飯を食べれたおかげで疲労も回復し、あと2日間歩き通せば下山できるという見通しもつき昨日とは打って変わっての心持だった。

始めは下りが続き道もわかりやすく、空の色、空気の冷たさ、雪の色、木々の色、すべてが心地良くどんどん進んだ。
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木々の間から刺す朝日は自分を照らし、エネルギーをくれる。
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この景色はいままでのうっ憤も不安もすべて帳消しにしてくれた。 
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甲武信を降りると雪が減って土が出ているところが出始めた。
何度か途中からアイゼンを外したり、危ない下りの時にまた装着したりをした。

この先どこで水が手に入るか分からないし雪を溶かすのも面倒だったのでちょっと遠回りして笠取小屋の水場に行ってみた。
笠取小屋の水場はしっかり水が流れていた。 小屋は無人だった。
日本の山はすごい。こうやって小川でこんなにきれいでおいしい水をいつも用意していてくれる。 
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この日は2人すれちがった。 そのうちの一人は軽装でマウンテンバイクを担いでいた。

朝6時から歩き出し、またもや暗くなるまで歩き通しのハードな道のりだった。食べたのは行動食と甲武信小屋でかったジュースだけ。たくさん歩かなきゃいけない行程なのはわかっていたけどやっぱり疲れた。

その日に泊る将監小屋の場所がはっきりわからず、暗闇の中ヘッドランプをつけ、たぶんこっちだと思う方向へ下りていく。
だいぶ下りて不安になり始めたところでやっとたどり着いた。12時間以上の行動で足もかなりきていた。
着いたのは7時過ぎだったと思う。前日に山小屋でたくさん食べたからなんとか持ちこたえられたが相当疲れた。 やっぱり寒かったので、小屋の中にテントをはった。 無人の真っ暗な小屋は不気味だが、ラジオをいれてみると電波がはいった。しかも仕事ばでいつも聞いているJ-waveのグルーブラインだ。ピストン西沢とふみかの声に少し活気を取り戻し真っ暗なテントの中でしばらく聞いていた。

朝起きて、1つ失敗に気づいた。 靴が寝袋の外で凍っていた。いつもは寝るときに一緒に寝袋に突っ込むのに忘れてた。でも今日の午後には下山できるし、標高も下がってるから大丈夫だろうとそのまま履いた。

歩き出してすぐに指先がずきずきし始めた。体温で靴も暖まるだろうと言い聞かせそのまま言った。
大丈夫だった。

場所ははっきり覚えてないが飛龍のあたりの展望台からの一望。
そして、この旅がデビューだったピッケル。一気に傷だらけになった。
こいつらがいなければここまでこれなかった。 ありがとう。
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この日はアイゼンもいらなかった。ところどころに薄い氷や雪があるだけで、土の部分や根っこが多いので逆にアイゼンがあるほうが危なかった。

やっぱり事故の8割は下山の時におきるんだね。身を以って思い知ったよ。
最終日、もう危ないところは無いと思っていた。 これを油断っていうんだね。
何気なく踏み込んだ葉っぱの上。
下は氷だった。 「あれっ」と思った瞬間、踏み込んだ足が完全に滑り、後ろ向きに斜面へ落ちた。本当に何度か転がったと思う。ザックの重さでコントロールもきかなかった。 止まった時はザックが下になり仰向けだった。見上げると結構転がり落ちた高さを見てさらに怖くなった。
でもどこも大きな痛みはなく、ほんの少し耳の後ろから血がていて、ところどころ打撲の痛みがあるだけだった。イアホンはどっかにすっとび、ポケットのサングラスは3つに分解していた。 (あとでアロンアルファで修理して、いまでもメインで使っている。)

恐怖心に一気にとらわれ、それからしばらくは一歩一歩踏み出すのが怖くてびくびく歩いた。



氷瀑。滝が完全に凍りついたもの。
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ついに雲取に到着。 あとは知ってる道を鴨沢へ下りるだけだ。
一応ガッツポーズをしておいた。
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雲取を下り、鴨沢への道へ。
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駅前の定食屋で豪華に食べた。 

5泊6日。始めての冬山登山が終わった。 登山の事がもっといろいろわかった。
そして冬山の楽しさを知った。 これからもっと知っていくことになる。
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by hoop29 | 2007-01-03 02:49 | 2007